【導入後の成果】短期間での開発にもかかわらず2割以上の業務を削減
学校法人基礎調査業務のデータ入力は、5月末と6月末の2回に分けて行われます。それを自動化するためのWinActor®のシナリオ開発が始まったのは2019年4月半ばで、5月20日ごろから第1回目のデータ投入が始まっています。なお最終的なシナリオ数は約30と膨大であり、極めて厳しいスケジュールではありましたが、WinActor®を利用してExcelに記述されたデータを無事e-マネージャに投入することができました。
大津氏自身、「実は、これはどう考えても終わらないのではないかと考えていた」というシナリオ開発ですが、なぜこれだけ短期間で開発することができたのでしょうか。その理由として、開発を担当した株式会社セラクの担当者は、次のように理由を語りました。
株式会社セラク デジタルトランスフォーメーション本部
RPA部 RPA課 主任 K.H氏
「WinActor®では、標準機能として提供されているパーツを組み合わせてシナリオを開発します。このパーツはすでに検証済みで動作が保証されているため、本来のシステム開発で必要となる単体テストの工数を劇的に削減でき、それによってシナリオ開発の期間を大幅に短縮することができました」
このように短期間でシナリオ開発は完了し、Excelに記述されたデータをe-マネージャに入力する業務をWinActor®で自動化することができました。WinActor®の導入効果について、大津氏は20%以上の業務を削減できたと話します。
「今回、特に大きく業務量を削減できたのは会計系の業務です。Excelで集計するだけで、e-マネージャに入力する部分は自動化が図れたためです。これらの結果を積み上げると、おそらく2割以上の業務量を削減できたのではないかと考えています。またデータさえ用意すれば入力は自動的に行われるため、納期に追われて手入力する必要がなくなったことも導入効果と言えるでしょう」
【今後の展望】 「WinActor®」が備える機能を活用して幅広い業務に展開
シナリオ開発に携わった株式会社セラクのシニアマネージャーは、今回のプロジェクトについて、次のように振り返りました。
株式会社セラク デジタルトランスフォーメーション本部
RPA部 RPA課 シニアマネージャー S.K氏
「RPAは、業務について一定の整理し効果的な使い方を検討した上で作業を進めるという考え方もあれば、現状の業務をRPAツールでトレースし、手っ取り早く成果を生み出すという使い方もできるツールです。今回の帝京大学様の導入事例は後者の成功例で、WinActor®を活用して一定の成果を生み出すことができたと考えています」
現在、帝京大学では、学校法人基礎調査業務に加えて会計課助成係担当部分などでもWinActor®を利用した業務の合理化が進められています。将来的にも、WinActor®が備えている機能を活用し、さまざまな業務に自動化していきたいと大津氏は語りました。
「たとえばWinActor®が持つフォルダー監視の機能を利用して、あらかじめ用意したフォルダーにデータを保存すれば、それを自動的に集計するといったことが可能です。このように提供されている機能を活用し、さまざまな業務にWinActor®を活用していきたいと考えています。また入学シーズンに発生する膨大な業務を自動化し、年間で業務量を平準化するといった用途でもWinActor®は有効ではないかと期待しています」 今後もWinActor®は、業務を合理化するためのツールとして帝京大学の幅広い業務で活用されるのではないでしょうか。
今回のプロジェクトでは、帝京大学様と密に連携してシナリオ作成を進めました。とはいえスケジュール上の理由から自動化できなかった領域もあり、今後もさらなる業務の合理化に向けてサポートさせていただきたいと考えています。