RPAとは

RPA導入を始める

2017年は「RPA元年」と呼ばれ、さまざまな業界・業種の各社でRPAの導入検討が始まりました。そんな中、実際にツールを購入してみたけど、うまく導入できていない...という声が多く聞こえているのが現状です。そのような状況を打破し、RPAの導入によって本当に効果を出すためにはどうしていけばいいのか、そんな疑問にお答えします。

そもそも、「RPA導入における失敗」とは

RPA導入の失敗には、以下のようなパターンがあります。(図表1)

  • 意図したシナリオを開発できない、開発してみたが動かない
  • 開発はできたが実用的でない、頻繁にエラーが出てしまう
  • 導入はできたがその効果を実感できていない、導入コストの方が高くついている
  • 導入もでき効果も確認できたがある特定業務への導入のみに留まっている、他業務や他部署への導入拡大ができていない
  • 拡大はできたがシナリオを管理できておらず、ブラックボックス化や野良化してしまった



RPA導入の失敗パターン

図表1:RPA導入の失敗パターン




RPAは、業務改善の「推進者」ではなく、あくまでも「一実行手段」です。業務改善を企画し、実行手段に落とすまでは、これまで通り人が意思を持って推進する必要があります。また、その結果について、セキュリティ等会社としての責任を担保するのも人の役割です。

一方で、RPAは従来のような「ITツール」ではなく、人と協働する新たな「パートナー」です。RPAを導入する際は、現行業務をそのままRPAに置き換えるのではなく、RPAというパートナーを含めて業務改善を前提に導入プロジェクトを構築する必要があります。

冒頭で述べたRPAにおける失敗は、「本来、業務はどのように運用されるべきか」や「どの業務への導入が適しているのか」について、深く考えていないことが根本的な原因であることが多く見られます。


失敗しないRPA導入の進め方

上記のような失敗を回避するための導入ステップとして、以下を解説していきます。

  1. 業務アセスメントによる、業務課題の抽出と適切な施策の決定
  2. 業務可視化・再設計による、効果があり個別最適とならないシナリオの設計
  3. UAT(User Acceptance Test:ユーザー受け入れテスト)の実施による、実用的なシナリオの開発
  4. 業務に合わせたシナリオのカスタマイズによる、継続的な効率化の実現
  5. ガイドライン策定と管理体制構築による、セキュリティの担保とシナリオの野良化防止


1.業務アセスメント

業務改善施策を検討するためには、業務アセスメントを実施し課題を抽出することが必要です。施策検討の際は、ソリューションをRPA導入ありきにせず、業務ルールの整備やシステム開発・改修、アウトソーシングなど、従来のソリューションの採用の可能性も含めて検討します。あくまでも目的は業務改善であり、RPAは業務改善の手段の一つでしかないからです。(図表2)各ソリューションの特性に応じて、目的の達成に最も適したものを選定します。





業務改善施策を検討し業務アセスメント実施

図表2:業務改善施策を検討し業務アセスメントを実施



2.業務可視化・再設計

業務アセスメントの結果、施策がRPA導入となったとします。業務が可視化されている状態とは、以下を指します。

  • 業務が一定の粒度でフロー化されている
  • 業務のアウトプットが明確になっている
  • 業務のボリューム(件数×工数×頻度)が計測されている



紙帳票でのデータの受け渡しを経てシステム入力を行っているフローにRPAを導入

図表3:紙帳票でのデータの受け渡しを経てシステム入力を行っているフローにRPAを導入




具体的に、図表3の通り、紙帳票でのデータの受け渡しを経てシステム入力を行っているフローにRPAを導入することを考えてみましょう。この時の課題が、ある一定の期間のみ負荷が集中すること(業務繁閑が大きい)だったとします。

現行フローを踏襲して人が行っていたシステム入力をRPAに置き換えるアプローチでは、RPAがデータを読み込めるように人(バックオフィス)がエクセルに転記する必要があり、結局その業務から解放されないため、業務改善の目的は達成されません。一方、紙帳票の廃止等、目的に照らして実施すべき施策を併せて検討したうえでRPA導入を行うことで、本来の目的を達成できる可能性が高まります。このような業務の再設計を経ることで、効果的で個別最適とならないシナリオを設計することができます。



3.UAT(ユーザー受け入れテスト)の実施

シナリオ設計ができたら、実際にシナリオを開発します。この際、従来のシステム開発以上にしっかりUATを行い、様々なエラーパターンを特定して改善することで実用的なシナリオに仕上げます。


4.業務に合わせたシナリオのカスタマイズ

シナリオは柔軟にカスタマイズできる特性があるため、一度作って終わりにせず、業務に最適な形でカスタマイズを行い育てていく必要があります。これにより継続的な効率化が見込めます。


5.ガイドライン策定と管理体制構築

RPAはメリットも大きいですが、リスクもあります。図表4に、RPAによるリスクとそれへの対策をまとめています。




RPAによるリスクと対策

図表4:RPAによるリスクと対策




上記の対策をどこまでしっかり行うかに唯一解はありませんが、少なくとも社内に既存のセキュリティポリシーと整合的にし、そもそもセキュリティポリシー自体を見直すことが必要となる場合があります。また、社内の各部門などで個別に検討すると非効率なので、このような対策を講じる機能を集約することも推奨されます。


ロードマップを引いて、始めてみよう

上記ステップをいきなり始めるのはかなり大変なので、まずはしっかりと計画を立て、必要な関係者を巻き込んでプロジェクトを立ち上げることが望ましいです。そのための標準的なロードマップを、図表5に提示しています。なお、下記のロードマップは、現場主導でRPA導入を推進していく場合を想定しています。




標準的なロードマップ(現場主導でRPA導入を推進していく場合)

図表5:標準的なロードマップ(現場主導でRPA導入を推進していく場合)




最初の3か月:特定部門/部署でのトライアル

まずは小規模にRPA導入をトライアル実施し、勘所をつかんでいきましょう。他部門をいきなり巻き込んでいくのはハードルが高い場合もあるので、まずは自部門の中で始めてみるのもいいと思います。決められた範囲で業務アセスメントを実施し課題を抽出したら、その課題への影響が大きい業務を可視化します。そして、必要であればその業務を再設計し、シナリオを開発、テストしていきます。

また、並行して社内のセキュリティポリシー群を棚卸し、ポリシーに抵触しないシナリオ開発の流れを考え、それを社内標準とするためにガイドライン化します。

このフェーズでは、社内でRPA導入を引っ張っていくリーダーの育成に注力します。このリーダーが、次フェーズで他の社員への講習会等を実施し、社内でシナリオ開発ができる人材を育てていきます。


次の3~4か月:本格導入/横展開

特定部門でのトライアルで効果を確認できたら、自部門の他業務や他部門の業務にも導入していきます。業務アセスメントや業務可視化は、対象範囲の検討が必要ですが、基本的にトライアルと同様の手法で進めることができます。

このフェーズでは、体制構築とシナリオ開発ができる人材の組織的な育成がポイントになります。現場主導で体制構築や人材育成を行うことが難しい場合は、IT部門との連携やITベンダーへ相談して実施することも検討してみてください。


それ以降:拡大

前フェーズまでに実施した施策について、しっかり効果検証を行います。また、会社全体として業務がどのように運用されているか管理するための活動も進め、全体最適を実現します。

RPA化した業務は、必要に応じてシナリオを改修したりしながら、PDCAサイクルを回し続けます。もちろん、RPA化だけを進めていくのではなく、他の改善施策も並行して実施していきます。

以上、会社全体として業務改善活動を推進していくという考え方を添えつつ、RPA導入ステップを説明してきました。ご参考になれば幸いです。

また、NTT-ATは、上記の考え方を理解した販売代理店を、コンサルパートナーとして認定しています。もし、RPA導入について不安なことや懸念点があれば、ぜひ相談してみてください。

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