国の施策として、全国医療プラットフォームの創設や電子カルテ情報の標準化が掲げられるなど、医療機関におけるDX化の取り組みが推進されています。社会医療法人同愛会 博愛病院においても、業務負担軽減、医療の安全性と質の向上を目指して、WinActorによる自動化を進めています。導入のきっかけは、電子カルテのデータ移行でした。新旧の電子カルテシステムの開発元が異なり、新システムには最低限の情報しか移行できなかったため、旧電子カルテの情報を保存し新電子カルテから参照可能な環境を整えることが課題でした。しかし23万人分の患者データを手作業で整理するのは不可能であり、解決の糸口を見出せない状態でした。RPAの活用で移行作業が可能になるのではと、2024年6月、WinActorを導入。選定理由について、診療放射線部・情報システム管理室の矢倉氏に伺いました。
矢倉氏「WinActorは豊富な事例があり、やりたいことを実現するためのノウハウが揃っている点が魅力でした。何よりも決め手となったのは、販売店のみなさんの“博愛病院のために力になりたい”という熱意を感じたこと。協働してDX化を進めていけると確信して導入を決めました」
旧カルテから必要なデータを抽出し、PDF化して保存する作業を自動化、新カルテで照合できる環境を約4か月で実現。画像認識などWinActorの高度な機能が役立ちました。これを契機に、他業務の課題解決にもWinActor活用を拡大しています。自動化業務を検討し、シナリオ作成を担当する薬剤部・情報システム管理室の加藤氏に伺いました。
加藤氏「反復作業が得意なWinActorで、これまで手作業で行っていた薬剤部の業務をまずは自動化しようと考えました。通常業務に追われて多忙な中、事務作業を効率化することで、患者様と関わる時間を確保できるようになりました」
毎月の負担となっていたのが医薬品の消費量、収益額を会計データから取得し、使用量から実際の納入価あたりの消費量、消費金額のデータを集計する業務。月末には2~3時間、半日かかることもあった作業が、自動化により最終集計のみの10~15分という大幅な時間短縮となりました。
続いて、現在、全国的に進められている電子処方箋提供の準備業務として、1200件ある既存の電子カルテの用法マスタを、電子処方箋用の標準コードへ紐づけする作業を自動化。手作業で1件1.5分、約30時間を要する想定でしたが、シナリオ作成に12時間、シナリオ実行により処理は約6時間と5分の1に稼働が削減されました。今後、類似作業の発生も想定され、本シナリオの微修正で活用することができそうです。
医療の安全性の向上にもWinActorは貢献しています。「カルテ確認状況把握(副作用登録状況履歴比較)」は、ヒューマンエラーを防ぎ、医療の安全性を高めるシナリオです。患者様に確認作業を行い、聴取したアレルギーの副作用などの情報を電子カルテに副作用歴として登録。副作用によっては薬の処方ができないケース、つまり禁忌に分類される場合があり、それを判断する重要なデータとなります。シナリオでは過去1週間の副作用歴登録のデータを集計、新たな登録患者の抽出で、確認作業の情報源とし確実なチェック体制を構築。確認漏れや提出忘れなどの防止徹底に役立っています。
今後の展望について、矢倉氏に伺いました。
矢倉氏「院内にRPAを周知し、シナリオを内製化ができる組織作り、自動化できる業務の発掘が必要。RPA推進チームを作り、各部署1名でも入ってもらいたいですね。毎日稼働させるシナリオを作り、実際に使うことでWinActorへの理解が深められる取り組みも進めます。さらなる業務効率化、そして安全な医療を患者様に提供できる環境づくりに寄与する効果を期待しています」
法人名:社会医療法人同愛会 博愛病院
所在地:鳥取県米子市両三柳1880
創業:1921年10月
事業概要:大正10年、現米子市役所所在地に株式会社組織で設立。
100年にわたり地域の医療を支えてきました。急性期医療を担う国立系病院と連携し、それぞれの強みを活かした医療サービスを提供しています。
地域の皆様が安心して暮らせるよう、医療・介護サービスの質をさらに向上させ、地域に密着した支援を提供し続けてまいります。
URL:https://hakuai.doaikai.jp/
診療放射線部・情報システム管理室
診療放射線技師・情報システム管理室室長補佐
医療情報技師 矢倉征道氏
薬剤部・情報システム管理室
薬剤師
加藤淳一氏
取材にご協力いただいた企業様のウェブサイト