
企業のDXを支援している株式会社ブレイン・ゲートプラスは、WinActorの代理店でもあり、WinActor利用者向けに会員制の「WinActorサポートサイト」を運営しています。
同サイトには2つの役割があります。1つは、WinActorの利用者を広く支援する情報提供の場です。シナリオ作成時のエラー解決や学習教材、バージョンアップ情報などを確認するために利用されています。もう1つは、登録企業にメールマガジンを届けるマーケティングの接点です。会員登録をしなければ閲覧できないコンテンツもあり、登録企業は約1,400社にのぼります。
「WinActorの利用者が検索を通じてこのサイトを訪れています。例えば、WinActorのエラーについて検索すると、このサイトにたどり着くのです。当社のお客様だけに限らず、WinActorを利用する方々に利用していただいており、日々新たな会員が登録しています」と話すのは、DX事業部で事業部長を務める髙橋氏です。
新たに会員が登録されると、サイトを管理する担当者のもとには通知メールが届きます。担当者は、登録者の所属企業が自社の競合企業に該当しないか、自社の既存顧客かどうかなどを判定したうえで別のツールへ手入力で情報を転記し、そのうえで返信するという作業が日々発生していました。また、同業他社からの登録は受け付けていないことから、返信する内容も異なっていました。
髙橋氏「会員の判定からメール返信、情報の転記は、担当者の判断に委ねられていたので、対応にばらつきが生じていました。この一連の業務は定型的な処理なので、これを自動化するためにWinActorの活用を検討しました。ただし、事務処理の自動化だけではなく、AIエージェントを活用して、次の営業・マーケティング活動につなげる仕組みにしたいと考えました」
そこで同社は、定型的な処理をWinActorで自動化するだけでなく、AIエージェントを組み合わせ、登録情報を次の営業・マーケティング活動につなげる仕組みを検討しました。
WinActorとAIエージェントでの役割分担は、早い段階で明確になりました。会員登録を知らせる受信したメールから必要な情報を取得し、別のツールへ登録する処理は、WinActorが得意とする領域です。その先にあるマーケティング活動へ活用していくのが、AIエージェントの役割です。
髙橋氏「WinActorで自動化した業務にAIのエッセンスを加えることで、新しいものが生まれると考えました。登録した企業がどんな企業なのか、特に、当社と取引があるのかないのか、あるとすればどのような取引をしているのかがわかれば、この企業に対して次にどんなアクションをすればよいかをAIが導いてくれる、そんな活用方法を思い描きました」
今回ブレイン・ゲートプラスでは、自社が利用している生成AIプラットフォーム「JAPAN AI」を使い、「会員登録情報に対してネクストアクション提案」というAIエージェントを構築しました。ここで使われているのが、複数のWinActorのシナリオを束ねてクラウドで集中管理するSaaS運用ツール「WinActor Manager on Cloud(WMC)」です。これにより、MCPサーバーを経由して多様なAIエージェントと連携できます。

WMCによるAIエージェントとの連携
今回のプロジェクトでは、以下のような連携が行われています。まず、メールツールのOutlookで新規会員登録のメールを確認します。次に、登録企業名をもとに、同社の「代理店一覧ファイル」「二次代理店一覧ファイル」「ライセンス管理表ファイル」を参照し、既存顧客か、新規顧客か、競合にあたる代理店かを判定し、その結果をAIに返します。
AIエージェント側では、まず、再度競合企業かどうかを確認するために、Webリサーチで登録企業でのWinActorの取り扱い有無などを調べ、社内の判定結果と突き合わせます。自社の手元にある代理店一覧ファイルや二次代理店一覧ファイルには掲載されていないケースもあるからです。ここで、自社の既存の顧客なのか、自社の代理店か、競合他社なのかが決まります。
次に、返信相手に応じた返信メールの文章や、その企業に対して取るべきアクションの提案資料が作成され、Googleドライブに保存します。この情報が、MCPサーバー経由でWinActorへも連携され、社内の販売管理システムに登録時の情報や提案資料が格納されます。そして最後に、担当者へ完了メールが送付されます。
この仕組みでは、WinActorが社内システムやファイルにアクセスして情報を収集・登録する一方、AIエージェントは収集した情報とWeb上の情報を分析し、企業ごとの返信文やネクストアクションを提案する。両者を組み合わせることで、定型処理から判断・提案までを一連の業務として自動化しています。
髙橋氏「WinActorが確実なシステム操作を担うことで、それぞれの強みを生かした役割分担が実現しました。細かな部分までができるのがWinActorの良さです。WinActorは、各種操作を自動化するための部品が細かく用意されており、今回もメールの受信確認、ファイルの参照、社内システムへの登録まで、既存の業務フローと同じようにシナリオを構築できました」

今回、Outlookの新規会員登録のメール確認をWinActorで行いましたが、実は、同社が使っている生成AIプラットフォーム「JAPAN AI」にも、メールツールと直接連携する機能があります。それにもかかわらず、メール確認の役目をWinActorが担ったのには理由がありました。
「理由は技術ではなく、セキュリティ方針にありました。当社では、AIにメールを直接触らせないことにしているため、OutlookはWinActorに任せることにしたのです。AIに何ができて何ができないかという線引きとは別に、AIに何をやらせないかという線引きが重要です。AIに直接触らせない方針のシステムであっても、RPAが間に立てば処理が途切れません」と、DX事業部技術開発部長の安齋氏は話します。

今回の「会員登録情報に対してネクストアクション提案」の仕組みにより、登録処理そのものの負担が軽減されるのは大きな効果です。自社の既存顧客か、新規顧客か、競合企業であるかの確認と、システムへの転記という工程がなくなり、1件あたり20分程度かかっていた作業が3分ほどになる見込みです。
しかし、業務負荷の軽減以上に大きなメリットは、これまで動きようがなかったマーケティング担当者が、登録企業にアクションを起こせるようになることだと同社では期待しています。
安齋氏「ネクストアクションの提案をどこまで充実させられるか、具体的にできるかは、Webリサーチ次第です。例えば、新規登録されたお客様が、いまどの業務でWinActorを活用しているかがわかれば、弊社がこれまで蓄積してきた導入事例から、登録企業に参考となる事例を選び、それを提案書に盛り込めるようになります」
また、Webリサーチという外部情報だけではなく、同社が蓄積していた導入事例を使って、登録企業が参考になる事例を提案書の中に入れるといったことも考えられます。さらに、自社と競合する販売代理店についても、扱っている製品によっては、パートナーとして組むことができるかもしれません。
安齋氏「販売代理店として当社が入る、逆に当社が持っているツールをその代理店に販売してもらう。このような広がりも出てくるのではないかと思っています」
さらに大きな視野で捉えたとき、WinActorや生成AIプラットフォームを扱う代理店でもあるブレイン・ゲートプラスでは、今回構築した仕組みを“自社を「最初の顧客」に見立てた導入”と位置付けており、自社業務による実証で検証したことを、自社の顧客提案へつなげていく考えです。
いま世の中には、BtoB、BtoCともに多くの会員登録制のサービスが存在しています。登録情報を人手で転記する業務が残っているなら、そこはWinActorで置き換えられるとともに、AIエージェントによる顧客へのネクストトアクション提案につなげられます。
髙橋氏「会員登録を起点に、AIがお客様に対するマーケティングの案を提案することで、情報が『資産』に変わります。適用できる範囲も広いのではないかと思っています」
安齋氏「マーケティングにしても営業にしても、お客様に関する情報はすでに社内にも社外にもたくさん存在しています。WinActorとAIエージェントを組み合わせることで、必要な情報を横断して参照し、顧客アクションにつなげられます」

レポートのサンプル
法人名:株式会社ブレイン・ゲートプラス
所在地:名古屋市中村区名駅四丁目22-22 名駅KMビル8F
創業:2023年3月
事業概要:WinActorをはじめとするRPA製品の販売・導入支援を軸に、企業の業務自動化を支援しています。近年は法人向け生成AIプラットフォームの提供やAI研修、AI活用コンサルティングへと領域を広げ、AIとWinActorを連動させたソリューションの提案に力を入れています。自社を実証の場としながら、お客様の業務に合わせた自動化の形を提案し続けます。
URL:https://braingate-plus.co.jp/
DX事業部 事業部長 髙橋俊彦 氏
DX事業部 技術開発部長 安齋勝雄 氏
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